
ワイン好きにとって、少し寂しいニュースが飛び込んできました。
AFP通信によると、2024年の世界のワイン消費量は前年比3.3%減の2億1420万ヘクトリットル。
これはなんと、1961年以来の低水準だそうです。
健康志向の高まりや経済不安、そして若者の嗜好の変化。
これらが重なり、長年にわたり文化や歴史を支えてきた“ワイン”という飲み物が、徐々に生活の中から姿を消しつつあるようにも感じます。
ワインが売れない時代がやってきた?
記事では、米国やフランスといった主要市場でも消費が大きく落ち込んでいることが報告されています。
とりわけ米国では前年比5.8%減。
「飲みすぎは体に悪い」と言われればそれまでですが、それ以上に“ワインを楽しむ時間の喪失”の方が深刻に思えます。
スーパーや専門店を見ても、安価なワインが大量に並ぶ一方で、高品質なワインの棚は狭まっている印象。
実際、平均価格は30%も上がっている一方で、消費量は12%減と、完全に「高くて売れない」悪循環に突入しています。
気候変動と政治リスクが生産にも打撃
さらに懸念されるのが、気候変動による生産量の減少。
イタリアやフランスといったワイン大国でも、干ばつや豪雨による影響が深刻で、2023年のフランスはなんと1957年以来の低水準。
もはや「天候任せ」ではやっていけない時代なのかもしれません。
加えて、トランプ大統領の関税政策のリスクも取りざたされています。
今は一時停止中ですが、仮に復活すれば、欧州産ワインの米国輸出は再び厳しくなるでしょう。
品質で勝負してきた欧州勢にとって、これは大きな痛手です。
若者に届かないワイン文化
フランスのワインチェーン「ニコラ」は、若年層とワインとの間に“世代間ギャップ”があると指摘しています。
たしかに、ワインは格式ばっていて難しそうなイメージがあるかもしれません。
けれど、それを打破するような文化的発信が、今はまだ足りていない気がします。
SNSでバズるのは、ビールやクラフトサワー、カラフルなカクテル…。ワインは「エモくない」のかもしれません。ちょっと悔しい話です。
正直に言えば、ワイン業界は岐路に立たされているように感じます。
高品質なワインを求める層は確かにいる。でも全体のボリュームが減っている中で、文化としての“ワインのある生活”をどう守り、どう広めていくか。業界全体が真剣に考えるタイミングに来ているのではないでしょうか。
ワイン好きとしては、もっと気軽に、もっと楽しく、そして持続可能な形でワイン文化が続いてほしいと願うばかりです。



