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「Beyond the time」展レポート|熊谷雲炎×大垣美穂子、木場EARTH+GALLERYで“時間”をめぐる対話

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先日、木場のEARTH+GALLERYで開催中の、熊谷雲炎(Unen Kumagai)×大垣美穂子(Mihoko Ogaki)による二人展「Beyond the time」を訪れてきました。

以下、その感想を綴ります。

会場の雰囲気

木場駅近くの静かな一角に佇むギャラリー。

カフェ&バー併設というスタイルで、一杯ドリンクを手に、ゆったりと展示を巡ることができる工夫が素敵でした。

特に、暗闇で作品を拝見するのは驚きました。

入場は無料ですが、ワンドリンクのオーダーが必須というスタンスも、作品との対話を自然に促してくれます 。

熊谷雲炎:書の「痕跡」と時間の揺らぎの

熊谷雲炎さんは、文字そのものよりも「書くという行為」の痕跡に焦点を当てています。

キャンバスや紙に刻まれた筆跡から、感情や記憶が揺らぐ瞬間が浮かび上がり、「文字」とは何か、時間と人の関係を問う作品群が並びます。

デジタル時代に蓄積された情報の海と対照的に、手で書く行為の“問い”としての力強さが胸に響きました 。

大垣美穂子:光と生命の交差

一方、大垣美穂子さんの作品は、生と死の間にある“曖昧な時間”や、生命の根源を光で表現したインスタレーションが中心。

光が器となり、身体の内外や時間の境界を揺らがせ、「存在」の静かな瞬間に触れるような感覚をもたらします  。

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二人展のテーマ“Beyond the time”

この展示の主題は「時間を超えて、その向こう側を感じる」こと。

書の痕跡に宿る過去の予兆、光の煌めきに映る生命の連続、“生と死”の間にある息づかいを、それぞれの視点で探求する構成はとてもよく噛み合っており、テーマが体験として自然に立ち現れます 。

感想まとめ

書と光という対照的な表現手段から、それぞれの「時間を超える」アプローチが体感できた ギャラリー内の緩やかな時間の流れが展示テーマと見事に呼応 小規模ながら、真摯で奥行きのある作品と空間構成に魅了された。

展示情報まとめ

会 期

7月15日(火)–27日(日)13:00–19:00 

会 場

EARTH+GALLERY(木場)アクセス:木場駅徒歩6分/門前仲町駅徒歩10分 

入場料

無料(ワンドリンクオーダー制)

Beyond the time – Unen Kumagai / Mihoko OgakiEARTH PLUS
この度、EARTH+GALLERY(株式会社アースプラス)は...

「Beyond the time」は、書と光を通して時間や存在を深く考える、静かで余韻のある展示でした。

心にそっと残る体験を求める方にはぜひ足を運んでほしい展覧会です。

書やインスタレーションアートが好きな友人を誘って訪れるのも良さそうですね。

最後に、雲炎さんの言葉を以下に記載します。

私は「人」という古代漢字を繰り返し書くことで、存在とは何かを探っている。

大作に文字を書く実験を続けるなかで、ある現象が起こった。同じように書いたはずの「人」の文字が、蝋によって紙に残ったり、墨で塗り潰されたりと、それぞれ異なる痕跡を残していったのである。それはまるで、歴史の中で記録に残ることのできた者と、名もなきまま埋もれていった無数の人々を映し出すかのようだった。

黒い紙面に書かれた「人」の文字は、確かにそこにある。しかし、光の加減や見る角度、湿度や時間帯によって現れたり、消えたりする。その不確かさは、まるで現実の人間社会そのもののようでもある。

私は、書ききれないほどの「人」の文字を、あえて書くという行為を通して、「個」がいかに脆く、それでも確かに存在しているということを問うている。蝋や墨、雲母といった不安定な素材は、存在の儚さや記憶の曖昧さを象徴する。文字の現れ方ひとつをとっても、人という存在の揺らぎが浮かび上がる。

無数の「人」のなかに、自らもまた含まれているという自覚とともに、私は書の中に小さな宇宙を構成しようとしている。

書くという行為が、名もなき存在に光を当てる手段となることを信じている。

(熊谷雲炎Facebookより)

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